2024年7月の豪雨による浸水被害を受け、戸沢村が進める集団移転事業。村が意向調査を進めた結果、反対していた住民が賛成に転じ全世帯の同意が得られたと、5日に村が開いた記者会見で加藤文明村長が明らかにした。
(戸沢村・加藤文明村長)
「今回の意向調査では、明確に反対という文言はなかった。したがって全69世帯の賛成が得られたととらえている」
蔵岡地区の集団移転事業をめぐり、村は2024年9月に開いた住民説明会で事業への賛同を求め、その後のアンケート調査の結果、全69世帯のうち9割以上の住民から賛成の意思表示を得た。
しかし、事業を進めるには全世帯の同意が必要で、村は「事業計画の策定」に着手する前に記名式のアンケートを実施した。
住民からの回答を集約した結果、反対する住民はいなくなったと判断したという。
また、村が移転先の候補地に挙げている「北部地区に住みたい」と答えた世帯は46世帯と半数を超え、こちらも事業を進めるための要件をクリアした。
蔵岡地区には1月、早期実現を目指す住民組織「新生蔵岡創生委員会」が発足。
住民と行政が一枚岩となって移転事業を進めていく環境が整いつつあるが、補償額の算出などまだ多くのハードルが残されている。
(戸沢村・加藤文明村長)
「住民にはいろんな意見があり全員の声に応えることはできないが、不安に思っている住民の思いにいかに寄り添えるか。しっかり向き合っていきたい」
意向調査では、「愛着のある『蔵岡』の地名を残してほしい」「移転までのスケジュールを早く示してほしい」といった意見も寄せられていて、村は課題を一つひとつクリアし前に進んでいく構えだ。