米沢市では、お正月に欠かせない置賜地方の伝統料理「コイの甘煮(うまに)作り」が盛んに行われている。
米沢のコイは、江戸時代に米沢藩主・上杉鷹山が冬のタンパク源を確保する食材として奨励したのが始まりと言われている。
中でもコイの切り身を甘辛く煮込んだ甘露煮は、置賜では「甘煮」と呼ばれ、年末年始の食卓に欠かせない一品。
コイの養殖から加工・販売までを手掛ける市内の鯉料理店「鯉の六十里」では、体長約60センチに育った3年もののコイを切り身にし、砂糖や醤油で作るタレで約1時間かけてじっくりと煮込み、柔らかくて味がしみこんだ甘煮に仕上げていた。
この店では普段、一日あたり約100切れの甘煮を作っているが、年末は注文が多く、23日の時点で普段の10倍の約1000切れ、大みそかには例年2万切れに上るとのことで、従業員は年越しまでフル稼働で対応する。
(鯉の六十里・岩倉利憲社長)
「28日・29日・30日は徹夜ですね。喜んでくれるお客さまがいらっしゃるので、そのために頑張るのみ。食文化・郷土料理として残していかなければいけない。コイをみなさんに食べていただいて、頑張って続けていけたら」
置賜に根付く伝統の味は、地元のスーパーや産直施設などで販売される。