2025年に270年の節目を迎える新庄まつり。新庄市の高校生が、山車(やたい)の魅力を後世に伝える活動を始めた。作り手の苦労を知るため、ミニチュアの達人に弟子入りし制作に没頭している。
達人に弟子入りしたのは11月上旬。ここは言わば、女子生徒が通う"道場"。
(指導)
「これはベースの色。いろんな色が入って一つの形になる」
新庄南高校3年の佐藤菜央さんは、新庄まつりを愛する18歳。
(新庄南3年・佐藤菜央さん)
「新庄まつりの魅力は人との関わり合いができる。つながりを感じられるところが魅力」
幼いころから、軽妙な囃子(はやし)の音色にのせて練り歩く山車に心を躍らせてきた。
いつしかそれは、多くの人に魅力を伝える活動をしたいという思いに変わり、地域の課題を解決する研究テーマとして取り組むようになった。
そこで出会ったのがミニ山車づくりの達人・神部明氏だった。
(神部明氏)
「高校生が新庄まつりのことをすごく真剣に考えてくれていることがうれしかったし、こちらこそ感謝」
神部氏は地元若連の山車づくりに40年以上携わり、新型コロナの影響で祭りが中止された2020年、落ち込む気持ちを奮い立たせるためにミニチュアづくりを始めた。
"現役引退"後は後継者を育成しようと、学校でのミニ山車教室を開講。
同じ思いを持った佐藤さんの"弟子入り"を断る理由はなかった。
(神部明氏)
「一つのことに目標を持ち、達成していきたいとの気持ちを感じたし、自分がしてきたことを伝え、第2・第3の作り手が一人でも多く出てきてほしいと心から思う」
ミニチュア制作を通して山車づくりの基礎を学んだ佐藤さん。
今後は地元の子どもたちに指導したり、一緒に作ったりする場も設けたいと考えている。
(佐藤菜央さん)
「山車を作る側の思い・どういう作り方で作っているのか...、体験してみないとわからない。ほかの人にも知ってもらい、魅力を感じてもらうことが大事だと思う」
卒業前の「課題研究」の発表は1月下旬。
佐藤さんは完成させたミニ山車を手に、先生やクラスメートに活動の成果と意義を伝える。