樹氷を形づくる「アオモリトドマツ」について、山形大学は農学部の教員が、蔵王国定公園内で枯れ木56本を無断で伐採したと発表した。また、3日に開かれた樹氷の再生を話し合う会議で、害虫による立ち枯れが収束してきていることが報告された。
アオモリトドマツは、蔵王の樹氷を形づくる針葉樹で、近年、温暖化が要因とされる「虫による食害」で立ち枯れが進んでいる。
こうした中、山形大学は3日、農学部の学術研究院の教員が、国の許可を得ずにアオモリトドマツの枯れ木・56本を伐採していたと発表した。
ことし10月下旬、山形森林管理署の職員が蔵王ロープウェイ・地蔵山頂駅周辺を巡回していたところ、枯れ木を伐採している教員を見つけた。
伐採の目的は「立ち枯れの研究のため」で、教員は現場での森林管理署の聞き取りに対し「許可を得ている」と答えていた。
しかしその後、森林管理署が確認したところ、国からの許可が出ていなかったことが
発覚した。
教員は国に一度申請したが、内容に不備があり差し戻された状態のままだった。
山形大学の玉手英利学長は、「この事態を厳粛に受け止め、全ての教員が高い研究倫理観を持ち、法令を遵守することを徹底してまいります」とコメントしている。
そして、蔵王の樹氷をめぐっては新たな動きも。
3日、仙台市で開かれた樹氷再生に向けた取り組みを話し合う会議の中で、「蔵王ではアオモリトドマツの虫による食害がピークを過ぎ、収束する傾向にある」との報告があった。
東北森林管理局などがことし7月~10月にかけて行った調査では、山形側でも宮城側でも、「虫による食害」の被害確認がこれまでと比べて大幅に減ったという。
(森林総合研究所東北支所・山中高史支所長)
「(大木に成長するまで)100年ぐらいかかると見ていいかと思う。息の長い取り組みになるが、今やらないと始まらないので今やることがとても重要」
東北森林管理局は、引き続きアオモリトドマツの種まきや若木の移植など、森林再生に向けた取り組みを続けることにしている。