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【山形】日本酒を造りたい! 杜氏に熱い思いぶつけ消防士から蔵人に 美酒造り目指し酒蔵で修行の日々 12/ 3

この春、山形市の酒蔵で蔵人として働き始めた男性がいる。県産の日本酒に魅了された元消防士の男性が、異色ともいえる転職を経ておいしい酒造りを目指す。

山形市の老舗の酒蔵・秀鳳酒造場は、2023年度の全国新酒鑑評会で金賞を受賞するなど、県内有数の酒蔵。
新米を使って醸造した日本酒が出回る今の時期、秀鳳酒造場でも蒸した酒米を仕込む作業に追われていた。

(秀鳳酒造・那須是清さん)
「蒸し上がりもいい状態なので、おいしいお酒になるんじゃないか」

那須是清さん(29)は、ことし4月に秀鳳酒造場に就職したばかりの新人の蔵人だ。

蒸した酒米をタンクに運び込み、年末にかけて絞る新酒を仕込む作業。
蔵人になってまだ半年の那須さんだが、最近、酵母を発酵させるタンクの温度管理などを任されるようになった。
タンクは巨大なため、同じタンク内でも上と下では発酵温度が異なる。発酵温度のムラをなくすためのかい入れ作業も那須さんの仕事だ。

(秀鳳酒造場・那須是清さん)
「お米を強くつぶさないように、大事に優しくかき混ぜるように意識している。そうすることによって味わいの雑味が減ったりまろやかになると言われている。経験年数でやはり『こういう状態だ』という変化が感じられるが、まだ私は経験が浅いのでなかなか難しい」

そんな那須さんに以前の職業を聞いてみると...。

(秀鳳酒造場・那須是清さん)
「ことし3月まで消防士として働いていました。消防士という仕事も、人の生命や財産を救うという意味でとても魅力的かつやりがいのある仕事だった」

消防士の仕事にやりがいを感じながらも、もともと日本酒が大好きだったという那須さん。「利酒師」「日本酒品質鑑定士」の資格を取るうちに、日本酒を造ってみたいとの思いが大きくなっていった。

(秀鳳酒造場・那須是清さん)
「居酒屋で飲んだ忘れられないお酒があって、その時の衝撃を今でも鮮明に覚えている。日本酒の味わい・文化・歴史を読み解く中で魅了されてしまった。絶対私もこの業界に入って日本酒を造りたいという思いが芽生えました」

いくつもの酒蔵を見学する中で、秀鳳酒造場の酒づくりに魅力を感じ、「飛び込んでみよう!」と一念発起した。

(秀鳳酒造場・那須是清さん)
「全国トップクラスの酒米の種類数を誇る、そこから出る幅広い味わいが秀鳳の魅力」

那須さんが相談したのは、酒造りの司令塔と言われる「杜氏」の相田勝之さん。
自宅を訪ねて、頼み込んだ。

(秀鳳酒造場 杜氏・相田勝之さん)
「熱い思いをどんどんぶつけられて『熱すぎるなあ!』というくらい、夜遅くまで思いを聞いた覚えがある」

那須さんの思いの強さを見て、相田さんは迎え入れることを決めたそうだ。

(秀鳳酒造場 杜氏・相田勝之さん)
「頼もしい限りです。こうやって若い人がどんどん育ってくれれば、我々も安心して酒造りを伝授できる」

そして、那須さんが初めて酒造りに携わった新酒が、11月に出来上がった。

(秀鳳酒造場・那須是清さん)
「生酒の特徴であるフレッシュ感・ピチピチ感が顕著に表れている。(店で注文されるのを)目の当たりにしたらうれしくて涙が出ると思います」

今はひたすら修行の毎日。そしていつか、自分がプロデュースした日本酒を造ることが夢だ。

(秀鳳酒造場・那須是清さん)
「知識と技術を習得して、まずは蔵に貢献するというところをやっていきたい。一蔵人として県内のお酒を盛り上げていければ」

国税庁によると、この20年で全国の酒蔵の数は高齢化などの影響で、2000社から1200社にまで激減している。
那須さんのような若手は、日本酒業界全体にとっても貴重な人材と思われるので、頑張ってほしい。
おいしい酒造りを目指して、那須さんの挑戦は続く。





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