ことし7月の大雨で大きな被害があった遊佐町のサケのふ化施設が復旧し、いまサケの採卵作業が最盛期を迎えている。
3日午前8時すぎ、ふ化施設で作業が始まった。
水揚げされていたのは、大きいもので約90センチにも育った立派なサケ。
遊佐町の箕輪鮭孵化場ではいま、捕獲と資源保護のための採卵作業が最盛期を迎えている。
(箕輪鮭漁業生産組合・佐藤仁組合長)
「今まで経験したことがないような雨だった。大変ひどい状況にもなったが、なんとか復旧できた」
ことし7月の大雨でサケが遡上する牛渡川がはん濫し、施設は高さ約1.8メートルまで浸水した。4棟あるふ化場では、ふ化に使う箱などが散乱し、一部は流されてしまった。
また、外の飼育池には泥が溜まり、事務所も壊滅状態。秋の遡上を前に、これまでに経験がない被害が重くのしかかった。
しかしその後、組合員総出での作業に加え、県やボランティアなどの協力もあり施設は復旧。11月中旬の遡上開始に合わせ、営業することができた。
3日は、加茂水産高校の生徒が実習に訪れ、ウライを使った捕獲や採卵作業などを学んだ。
実習は毎年行われていて、高校生にとってことしも貴重な学びの機会ができた。
(生徒)
「自分も大雨の被害があったところに住んでいるので、復旧は大変だったろうと思う。組合員の努力のおかげだと思うので、感謝して実習したい」
近年は、温暖化などの影響でサケの遡上量の減少が顕著だというが、今後はこうした「自然の変化」も見据えながら、「おいしいサケを届けたい」と佐藤さんたちは意気込んでいる。
(箕輪鮭漁業生産組合・佐藤仁組合長)
「遠くは九州から地方発送などで買い求める客もいる。出来るだけ期待に沿えるよう、サケ次第だが、なんとかできる範囲で頑張っていきたい」
採卵作業は12月中旬まで。100年以上、人工ふ化が続けられている全国屈指の「鮭の町」では、災害を乗り越え、ことしも伝統がつながれている。