日々進化する自動運転の技術が、「舟下り」に活かされる日が来るかもしれない。戸沢村で28日、「観光船の自動操縦」に向けたプロジェクトが始動した。
このプロジェクトは、最上峡芭蕉ライン観光が飯豊町・電動モビリティシステム専門職大学と共同で行う県内で初めての取り組み。
「自動操縦」に着目した背景には、現状への“危機感”がある。
慢性的な人手不足の中、コロナ禍後はインバウンド需要が増え、屋台骨を支える船頭たちの負担の軽減が大きな課題となっていた。
(最上峡芭蕉ライン観光・南條裕司さん)
「通常、ガイドと船長の2人で対応しているが、忙しくなると1人2役。人手不足で断っているお客さんもいる。自動操縦が導入できれば、運転を機械に任せ集中してガイドができるので非常に期待している」
プロジェクトには大学が蓄積するノウハウが生かされる。
船に取り付けるカメラやセンサー・GPS機能を駆使して走るルートを覚えさせ、安全な運航を目指すが、流れのある川では簡単にはいかない。目まぐるしく変化する風や波の動きを予測し、危険を回避できるかがカギを握る。
(電動モビリティシステム専門職大学・古川修教授)
「道路よりも最上川の水域の幅の方が広いし、流れに応じて制御する技術を十分有しているので、人がやるよりさらに安全で正確無比。船頭には舟唄に専念してもらえる。ここをスタートにして、自動操縦技術が世界に広まると非常に面白い」
国内でもあまり例がない川をフィールドにした自動操縦の技術開発。
最上峡芭蕉ライン観光は、今後、実証実験を繰り返し3年後の実用化を目指す。