国産の最先端手術支援ロボットが、県内で初めて置賜総合病院に導入された。患者の負担が少ない「腹腔鏡下手術」の難しさをロボットが支援することで、医師にとっても、患者にとっても大きなメリットが生まれるという。
医師が動かしているのが、手術支援ロボット「hinotori」。
5年前に実用化された国産初の手術支援ロボットで、今回、県内で初めて公立置賜総合病院に導入された。
「hinotori」はこれまで全国70以上の医療施設で導入され、手術例は約1万件に上る。
価格は1台2億2800万円。
山形大学病院など県内3カ所で導入されているアメリカ製の手術支援ロボット「ダヴィンチ」よりも導入コストが低く、性能には大きな差がないのが魅力だという。
(リポート)
「執刀医は手と足を使って遠隔操作をしている、3メートルほど離れた場所に手術台があり、患者に人の手が触れることなく手術が行われている」
その特徴は、患者に直接触れずに手術を行うこと。
医師は、手術台から離れたコックピットで4本のアームを動かす。
アームは、人間特有の手の震えなどの影響を受けずに動かせる。そのため血管の縫合など高度で繊細な作業がやりやすく、医師の負担が軽減できる。
(置賜総合病院・小澤孝一郎医師)
「手の震えがないのは、手術者としてはストレスがかからず手術できる。術者がストレスなくできるのはいい手術につながる」
メリットは患者側にも。
このロボットで行うのはいわゆる「腹腔鏡下手術」。腹部にあけた小さな穴からアームを入れて行う手術。
腹を切り開く開腹手術と比べ小さな傷で済むため、患者の負担が減らせる。
またアームの先が人の関節のようになめらかに動くため、人の手よりも狭く、深い場所での腫瘍などにも対応できる。
(置賜総合病院・小澤孝一郎医師)
「鉗子(アーム)が先で曲がるので、剥離・はがしたり切ったり血を止めたりするのはやりやすい」
置賜総合病院では現在、消化器外科や泌尿器科など8人の医師が研修をしていて、今後、がんの手術などで使われる。
(置賜総合病院・小澤孝一郎医師)
「山形市まで行かなくても地元で通院しながら、地元の患者さんに手術してあげられるのはそれだけでもメリット。私たちの技量も高めながらどんどんニーズに応えていきたい」
「hinotori」を使った初めての前立腺がん手術は5月14日に行われる。