鶴岡市・湯田川温泉にある農業施設で、余り湯を利用して稲の種もみの発芽を促す伝統の「芽出し作業」が本格化している。
鶴岡市・湯田川地区にある「催芽施設」では、夜も明けきらぬ9日午前5時すぎから作業が始まっていた。
余り湯を活用した種もみの「芽出し作業」は、温泉地・湯田川で江戸時代末期から続く田植えの準備作業で、今シーズンは4月1日から始まった。
水路に流された余り湯は催芽に最適な32℃で、湯に12時間ほど浸け込んだ後、枕木の上に引き上げ、「むしろ」をかけてさらに同じ時間蒸すことで発芽を促す。
種もみは農家が種類毎に約8キロに袋詰めして預けたもので、9日朝、作業員が蒸しあがった袋を回収したり、新たに湯に浸したりする作業などを手際良く行っていた。
これらは温泉地の知恵が詰まった伝統の作業法で、専用の機械を使うよりコストを抑えられ、発芽のそろいが均一になるメリットもあるそう。
(JA鶴岡営農販売部・難波俊幸さん)
「種もみは例年並みに集まっている。米価が高騰している上、去年は不作だったので、今年は豊作になるよう願いながら作業している」
作業は今週がピークで4月下旬まで続き、庄内地方の農家666軒から、はえぬき・つや姫など約236トンが持ち込まれる予定。