山形銀行をかたる不審電話による詐欺被害について。県は、不正送金の被害にあった県内企業の運転資金を支援するため、低利子の融資度を利用できるよう調整していることを明らかにした。
この問題は、山形銀行をかたる自動音声電話が県内企業に3月10日に相次ぎ、不正送金被害が複数確認されたもの。
13日の県議会で、議員から被害があった企業への県の対応について質問があった。
(吉村和武議員)
「支払いが滞るなど倒産に直結してしまう危険性もある。商工業振興資金を適用できるようにするなど検討が必要」
県の商工業振興資金は、県内企業の経営を安定を図るための低利子の融資制度で、災害時や物価高騰時などに活用される。
現在はこの対象に詐欺被害は含まれていないが、県は今回のケースで活用できるよう調整していることを明らかにした。
(県商業振興・経営支援課 杉原貴幸課長)
「商工業振興資金には『経営安定資金』があり、貸付対象に“取引先・他社の倒産などで経営に支障をきたしている場合”とある。ここで、『他社の倒産等』に『外部の要因』として当てはまるかどうか検討している」
対象になれば、年利1.6%で8000万円を限度とする運転資金の融資を受けられるという。
一方、今回の山形銀行をかたる不審電話について、フラワー長井線を運行する山形鉄道は12日、被害を発表した。
山形鉄道によると、3月10日にかかってきた電話でネットバンキングの情報更新を求められ、経理担当者が対応したところ、偽のサイト画面に誘導されて取り引きに必要なログイン情報やパスワードを入力した。
その後、口座にあった1億828万円が別の口座に送金されていることがわかった。
担当者は「ネットバンキングが使えなくなると思い指示に従った」と話しているという。
不正に送金された1億円あまりには、国や県・沿線自治体の補助を受けてフラワー長井線に導入する新たな信号システムのための費用の一部が含まれている。
また、運転資金も被害にあい、山形鉄道は現在、県や沿線自治体と資金繰りや対応策を協議している。
山形銀行をかたる不審電話による被害は県内でほかにも複数確認され、警察は企業をねらったボイスフィッシング詐欺として調べている。