木製の食器やオブジェが並ぶ中、木が生きてきた痕跡を感じられる作品が見る人の目をひきつける個展の話題。
山形市で行われている木工作品の個展。
食器やオブジェが展示・販売されるなか、特に注目して欲しい個性的な作品がある。
作品を手掛けるのはサトウウッドスタジオの佐藤辰徳さん。
(サトウウッドスタジオ・佐藤辰徳さん)
「私が大事にしているのは木の個性や表情。このような材料だと木の皮が入り込んでいたり、枝が出る部分の節が入っていたりして、木工の世界では棄てられてしまう・はじかれてしまう部分」
作品に使うのはケヤキ・クリ・サクラなど約10種類の県産木材。
本来であれば「棄てられる木材」に命を吹き込む。
(サトウウッドスタジオ・佐藤辰徳さん)
「ここに穴があいてる、真ん中に。木材屋からはびっくりされたり『こんなのでいいのか』と驚かれたりする」
虫食いの跡がある作品。
佐藤さんによると、カミキリムシなどの虫が木を食べた跡だそう。
また別の作品は節が入り込んで割れている。木が生きてきた痕跡を感じられる唯一無二の作品だ。
以前、仏壇を製造をしていた佐藤さん。
木材を扱う業界では、昔から節がないきれいな所を使うことが良いこととされてきた。
しかし佐藤さんは、樹齢が数百年と長くなるほどに現れる複雑な節の形や木目の変化を大切にしたいと考える。
(サトウウッドスタジオ・佐藤辰徳さん)
「自分の評価軸だと、それが美しさだったり木の表情が出てる部分。そういう所をしっかりと見たい・評価したいと強く思っている」
木は限りがある素材。
森林が減っていく中で、佐藤さんは「無駄なく使うこと、長く使ってもらうことにも非常に大きな意味がある」と話す。
(サトウウッドスタジオ・佐藤辰徳さん)
「個性的な器はもちろん、実用的な漆を塗ったお椀なども揃えている。ぜひ手に取って眺めていただけたらうれしい」
思いを込めて作った作品を展示・販売する「佐藤辰徳 木の声を聴く」は、1月19日まで開かれている。