長井市が所有する彫刻の数々と、地元出身の版画家・菊地隆知の作品を一堂に集めた展示会が白鷹町で開かれている。
この展示会は、長井市と白鷹町がそれぞれ市政・町政70年を迎えたことを記念して企画されたもの。会場に並んでいる彫刻作品は、かつて長井市で印刷業を営んでいた加藤嘉志朗さんが集めたコレクション。加藤さんは、自宅を改修して作品を集めた「芳文庫ギャラリー」を作ったが、加藤さんが亡くなった後、遺族から長井市にギャラリーと作品が寄贈された。今回は「芳文庫ギャラリー」の作品約80点のうち彫刻を中心に50点が並んでいる。ロダン、ブルーデルといった世界的に知られる作家の作品のほか、米沢市出身の桜井祐一や高畠町出身の鈴木実など、郷土の作家の作品も見ることができる。
一方、版画は加藤さんの同級生で長井市出身の菊地隆知の作品。菊地隆知は、事故で右半身が不自由になった後も、6年前に亡くなるまで左手一本で制作活動を続けた。作品は遺族により長井市に寄贈されていて、今回の展示会には古民家や雪景色、自然の風景など、41点が並んでいる。大自然の雄大さをダイナミックに表現した作品や、建物の細部にまでこだわった作品など、白と黒で表現された匠の技を間近で味わうことができる。
長井市の宝「芳文庫の彫刻と菊地隆知の版画」展は、白鷹町文化交流センターあゆーむで、来年1月13日まで開かれている。(月曜休館)