「この虫は苦手」という人も多いかもしれない。今週に入り、県内であまり見かけない緑のカメムシが大量発生している。その正体と大量発生の理由を、病害虫の専門家に聞いてきた。
(リポート)
「山形市内のコンビニエンスストアです。上に2匹、下にもいます。緑が鮮やかなカメムシです。山形にいるとカメムシを見慣れていますが、この色のカメムシは今週に入ってはじめて見ました。みなさんの周りにもいるのではないでしょうか?」
山形市内の別のコンビニエンスストアやマンションの部屋の玄関前でも...。
さらに、山形市だけでなく、置賜・庄内と、今週に入って県内各地で多数の目撃情報が相次いでいる「緑のカメムシ」。
夜になると明るい照明に集まってくる謎のカメムシに、取材したコンビニの店員も、ペットボトルですくうなど対応に苦労しているそう。
「カメムシ多すぎ...、キモチワル...」
普段、山形でよく見かけるカメムシは、もっと茶色っぽかった気がするが...。
この大量発生した緑のカメムシは一体何なのか、県内の病害虫を調査している県病害虫防除所の高部さんにその正体を聞いてみる。
(県病害虫防除所・高部真典業務課長)
「あのカメムシはツヤアオカメムシというカメムシで、主に関東から西の方の県で生息しているカメムシ。山形県ではほとんど見ることがなく、今回のように大量に飛来してくるというのは初めてのケースだと思う」
2000年ごろから県内での確認事例はあったものの、年に数匹程度だったというツヤアオカメムシ。
それが今年は、9月10日ごろに最初の飛来が確認され、1日夜に大量発生が確認された。
(県病害虫防除所・高部真典業務課長)
「生態がよくわかっていないというところもあるが、光に反応してきてかなり集まってくるという性質があるよう」
ちなみに、県内でよく見かける茶色のカメムシは「クサギカメムシ」。
今回はなぜ、緑のツヤアオカメムシが大量発生したのだろうか。
(県病害虫防除所・高部真典業務課長)
「春先から西の方の県でツヤアオカメムシを含む果樹カメムシが大量に発生しているという情報があったので、それがこちらまで台風や前線に乗ってやって来たのではないかと推測している」
県内に入ってきたことで、果樹などに影響はあるのだろうか。
(県病害虫防除所・高部真典業務課長)
「西の方の県では主に柑橘類が果樹として栽培されていて、柑橘類で被害が出ているとよく耳にするが、東北の果樹にどう影響するかというのは全く知見がないのでわからない」
高部さんによると、今のところ県内の果樹園でツヤアオカメムシは確認されていないが、もし県内で果樹への被害が出た場合は、調査する必要が出てくるとしている。
生態に謎が多いツヤアオカメムシだが、冬の寒さには弱いため、「県内で冬を越すのは難しいのでは...」と、高部さんは推測している。
2日、自宅にカメムシが出て、親が大慌てで対処したと話していた。
高部さんにおすすめの対処法を聞いたところ、紙コップでそっと下からすくって外に出してあげるといいそう。
カメムシは、びっくりしたり命の危険を感じたりすると、あの強烈な匂いを発してしまうので、見つけた場合は慌てずそっと対処してみてほしい。