7月の大雨で大きな被害があった酒田市で、消防士を対象にしたチェーンソーの研修会が開かれた。倒木などを適切に処理し、人命救助につなげるのがねらい。
大雨被害があった酒田市で行われたチェンソーの研修会は、消防士に倒木や流木などを適切に処理する知識・技術を学んでもらおうと開かれた。
研修会を企画し講師となったのは、被災地でボランティア活動を行う技術系のNPO団体「DRT JAPAN」と「DRT JAPAN山形」。
きょう(19日)は県の内外から19人が参加した。
(講師)
「チェーンソーというのは、刃が切れると前に飛んでくる。だから後ろよりも前が危険。切るときに必ず『前確認良し』と頭の中で言ってください。それから真正面で人は待たない」
はじめに、講師からチェーンソーを安全に使うための操作方法を学んだ後、実技研修に臨んだ。
(リポート)
「実技研修の場所となるのは、実際に7月の大雨で被害を受けた場所です。流木を使って木の撤去作業をおこなっています」
7月の大雨で流れ着いたたくさんの木が溜まったままになっている酒田市大蕨の若神子集落。
流木が生活道路を塞いでしまい、住民が撤去してほしいと言っていた場所だ。
(チェーンソー講習)
「ここに残っているのがツル。木を切り落とさなくていい。木をコントロールするための命綱です。最初の目標である"下にある対象物"が何よりも守られる。切るのではなく、木をコントロールするということを災害現場では覚えておいてほしい」
県内の消防でもチェーンソーの研修会は開れているが、7月の大雨を含め実際の現場で使った例は多くなく、適切で効果的な使用法の習得は今後への重要な備えとなる。
参加者たちは流木の下に人がいるかもしれないことを想定し、「どうやって木を切って取り除けばいいのか」を考えながらチェーンソーで慎重に木を撤去していた。
(酒田消防から参加)
「パッと木を見ただけで重心や、どこに切った木を転がすのかということを教えてもらい、まだまだ見る目が足りないなと思った」
(鶴岡消防から参加)
「チェーンソーの取り扱いが現場では少ないので勉強したいと思って参加した。1回聞いただけだとなかなかできなくて、実際にやってみてさらにアドバイスをもらって、もう少し訓練して技術を高めていきたい」
(DRT JAPAN山形/佐藤信一さん)
「実際にどういったかたちで木がたい積しているのか、もしその中に人が一緒に流れていたとして、その要救助者に二次災害を与えないように、いかに上手に木を撤去できるのか、そういったことを学んでほしい」
DRT JAPAN山形は、「今回学んだ技術を各所属で共有してもらい、組織全体で技術の底上げを図ってもらいたい」と話していた。