猛暑の影響でサクランボの生育が早まり、旬が短くなる中、長持ちさせるための新しい技術が生まれている。
新たな技術を開発したのは、家庭用や医療用などのガスを販売する山形酸素。3日に撮影したサクランボは、どちらも6月28日に収穫され、67日保存された紅秀峰だ。
(山形酸素・酒井孝営業本部長)
「こちらが通常の冷蔵保存したもの。こちらが我々の独自技術であるガスと一緒に67日冷蔵で保存したもの」
2つを見比べるとその差は一目瞭然。普通に冷蔵保存したものは色が黒く変色しシワシワになっている。一方、ガスと一緒に保存したものは…。
(山形酸素・酒井孝営業本部長)
「ツヤと表面のハリ具合もほぼ収穫(した時と)変わらない」
いただいてみると…。
(リポート)
「採れたてとほぼ変わらない。甘みもしっかりある、食感もパリッとしていて67日経ったとは信じられない」
サクランボは収穫してからおいしく食べられる期間が短い果物。山形酸素では、新たなガスの活用法を探る中で、サクランボの長期保存に挑むことにした。
(山形酸素・柏倉将光営業本部新規プロジェクト担当部長)
「詳しいことは申し上げられないがガスの作用が確実に働いている。温度管理・湿度管理と相まってもぎたてと変わらないおいしさを維持できている」
新規プロジェクトは2021年にスタートした。昨年度からは県の工業技術センター庄内試験場と慶応義塾大学先端生命科学研究所(鶴岡市)の協力を得て研究を進め、去年時点の解析で「14日間保存しても採れたてと近い食味」であることがデータでも裏付けられた。
そして、この技術によって販路開拓の期待も高まっている。今年6月にはガスと一緒に保存した「やまがた紅王」200粒をロンドンに空輸。収穫の4日後にダメージがほぼないまま現地に到着した。
(山形酸素・柏倉将光営業本部新規事業担当)
「フルーツの卸業者・高級レストランのシェフに試食いただいて、味・食感・見た目・香りとも高評価を得た」
気候変動によって収穫期間が大きく短くなるなど厳しい状況が続く中、県産サクランボをおいしい状態でより長く楽しめるようになるかもしれない。
(山形酸素・島津康社長)
「収穫から出荷までの期間を延長することで生産者の作業効率化や物流に展開するまでを計画的にできる、といった所で貢献できる。日本国内の遠方、海外諸国まで幅広く展開することで県産サクランボをさらに知らしめることができる」
山形酸素は今後、サクランボだけでなく、他の食品などでもガスによる長期保存に向け研究を進めていくという。