江戸時代に北前船の交易で栄えた港町・酒田。文化の交流地でもあった酒田では、雪中芝居とも称される股村 歌舞伎「黒森歌舞伎」や、人々の廟いを込めて奉納した「傘福」など、独自の文化が生まれ、長い時間をかけて地域に根付いてきました。

「黒森歌舞伎」は地域の住民によって280年以上もの問受け継がれてきました。去年11月、新たな試みとして行われたボーランドでの公演。国境の壁を越え大盛況。中でも注目を集めたのは、男性が演じる女形の演技です。黒森歌舞伎の座員、五十嵐司さん(37) は女形歴10年。それでも、座員の中では若手の存在です。稽古に参加するといつも言われるのは、「仕草とか手振りは役者の台詞の代わりになるもの感情がこもっていない」黒森歌舞伎歴55年の師匠、佐藤利一さん(69)からはダメ出しの連続です。仕事の片手間に行う、連日の稽古。それでも司さんは、「好きだから続けられる」と女形の所作に磨きをかけます。果たして本公演は無事、成功できるのか。

江戸時代から酒田に伝わる、つるし飾り「傘福」。日本三大つるし飾りの一つとしても知られています。傘には 「魂が宿る」と言われ、女性たちが我が子の成長や家族の健康を願い、地域の神社仏閣に奉納されてきました。そうした風習に光を当て、文化を受け継いだのは、平均年齢73歳の地元のお母さんたち。酒田を代表する料亭で、色とりどりの傘福を製作・展示しています。そして今年、999個の椿をつるした新作を一般公開。製作期間1年。高さ2メートルにもおよぶ巨大な傘福は、どんな仕上がりとなるのか。一針ー針に想いを込める女性たちをみつめます。

近年酒田にはアジア圏など海外から訪れる観光客が増加し、その文化的景観や豊かな自然が高く評価されてい ます。そしてその魅力の背景には、酒田の伝統文化を受け継ぎ、次の世代へ伝えようと取り組む人々の存在があ ります。この番組では、そんな伝統の守り手たちやその活動にスポットを当て、酒田の魅力を再発見するヒントを探ります。